英国種羊毛はオーストラリア・メリノ種のように均一・純粋種ではないといわれています。英国種といっても地方によりかなりの差があり、毛足の長いものから短いもの、細いものから太いものと大変種類が多い。しかし、共通点であり最高の特長は「腰が強く、張りがある」点です。背広素材としての絶対条件は、実はこの点なのです。それは、「エンクロージャー」の昔から、自然飼育が変わりなく続けてこられた賜です。
染色方法は3種類に大別されます。
@・Aを一般にトップ染め、Bを後初め染めといいますが、英国では @の原毛に近い状態で染色されます。これをオイルスパンという独自の紡績方法で原糸を作ります。これにより比較的低圧・低張力で加工が可能になり、ウールの生命力が保たれ、深い色彩と耐久性を実現します。A・Bは加工性には優れていて均一・安価ですが、品質面では@には及ばないのです。
英国では旧式の低速シャットル織機を使用し、英国独自の強撚糸を、時間をかけて丹念に織り上げます。
十分練り上げられ、ウールの物性を生かしきった古来のクラシックパターンは、質・量ともに圧倒的です。ショートレングスとよばれる小ロット生産ですから、同一色柄の服地は30着分しかありません。次に、具体的に英国製高級服地を紹介します。
上質な細番手を 贅沢に使用し、きめの細かさ、自然の光沢はこれぞ英国服地の王者です。色柄の傾向は、落ち着いたクラシックパターンです。
英国伝統のオイルスパン糸を使用し、風合いは抜群です。縞柄の繊細な多色使いを得意として、嫌味の全くない服地です。
知る人ぞ知る超高級品。この社は、道楽的服地造りをしています。服地の張りと凝縮感は世界一だと思います。複雑な縞柄、ミニ格子柄を得意としています。輸入量は少なく、本当の逸品です。
極細番手を使用して、比較的薄物を得意とし、ゴージャス感を前面に出しています。夏のモヘアの柄物は、立体的で奥行き感のある独自のものです。
スコットランドに本拠を置き、ツイード、ラム系のブレザー服地がメインです。服地の自然なツヤ、耐久性は抜群です。
オークスミルズと言うヨークシャー地方の織元で製造。ウーステッドを良くこなし、細番手のsuper80’〜 super100’ 服地と、クラシックパターンは定評のあるところです。
質実剛健、鋼のような強度と、着用すれば着用するほどに愛着のわく比類なき耐久性。Very Englishです。