お客様の要望・用途・体型・嗜好・職業、服地の物性、洋服の形式を総合します。大別して、通常の背広「ブレザー」「オーバーコート」「礼服」「モーニングコート」まであらゆるデザインが可能です。細部のディテールは、襟、袖、ポケット等どのようなデザインでも申し受けます。
ただしこれらを単に組み合わせてオリジナルを追求するというのではデザインとはいえません。スーツをデザインしていく上では、基本的なルールがあるのです。一例として、例えばサイドベンツのスーツでは袖ボタンは4個が基本ですし、ダブルのスーツではピークラペル(剣衿)でなければいけません。また、服地の色柄の選択にもルールがあり、慎重でなければなりません。
これらの条件を満たすイージーオーダーや高級既製服も少数ながら存在しますが、実は本物のオーダースーツは着用する人の体型・風貌・職業といった複雑な諸条件をより高次に、より繊細に、より美的に調和させるものです。
例えば、顔の幅・長さ、肩幅・服地の色柄などによって衿幅・衿位置はo単位で設計され、身長・胴長などによって最適なシルエットを英国流8等身理論により、割り出していくのです。これは、オーダーでしか実現しません。真の個性的なデザインは、絶妙なバランスを保っていると思います。